効率的な勉強についていろいろと書いてきましたが、これまで書いてきたのは
① 基礎的な内容は暗記しておくこと。
② 十分な量を確保すること。
の2つです。
「ぜんぜん効率的じゃないやんけ!」というツッコミが聞こえてきそうな内容ですが、もう1つだけ付け加えさせてください。
それは謙虚に学ぶこと。
「こんな簡単な問題今更やるまでもない」と基礎をすっ飛ばして標準~応用レベルからやりたがる子がいます。
ちょっと待ってほしい。
入試で出題される難しい問題には大雑把に3つほどパターンがあります。
まず誰も思いつかないような手法が必要な問題。次に知識が多く必要となる問題。
そして処理、数学でいえば計算が複雑だったり、国語でいえば長めの記述問題がこれにあたります。
以下の問題を見てみましょう。
『四角形ABCDが、半径 65 / 8 の円に内接している。この四角形の周の長さが 44 で、辺BCと辺CDの長さがいずれも 13 であるとき、残りの2辺ABとDAの長さを求めよ。』
さて、高校生諸君はどのようにアプローチするでしょうか。
高校生からすると定期テストに「出そうに見える」問題です。
さて問題。この出題は先ほどの「難しい問題」のどれにあたるでしょうか。
実はこの問題は2006年に東大で出題された問題です。
そう聞くと途端に難しく思えてきました。
きっと僕たちには思いもよらない鮮やかかつ難解な解法が用意されていそうで、もちろん先ほどの1番目にあたる問題なんでしょう?と思いますよね。
ところがどっこい、実はこれは高校1年生の、それも教科書基礎レベルの知識があれば解けるのです。
1つ目でも2つ目でも3つ目でもありません。
問題をよく見ていくと四角形でそのうち2辺の長さが与えられているのでとりあえず三角形に分割して考えてみよう。
それも半径が与えられているから正弦定理で何かしら式がつくれそうで、しかもこの四角形は円に内接しているから対角の和は180度になっているはずで…と考えていくと難解な計算は一切登場せずあっさり解けてしまいます。
解答は数学にひたむきな高校生諸君に任せるので、できたら答え合わせをしましょう。
この問題の難しさは、与えられた条件から考えられる式をすべて無駄なく活用しなくてはならないところにあります。
基礎的な内容さえしっかり理解していればもれなく立式できて正答できますが、もし1つでも基礎的な内容に苦手があればまったく計算が進まず…
逆算して考えると、この問題が解ける子はどんな勉強をしているのでしょうか?それは「基礎基本の復習」と「身につけた知識を活用する勉強」。この2つです。
周りから見ると引いてしまうような分厚い参考書なんていりません。
学校レベルの問題集とちょっとした工夫が載っている参考書があれば十分です。
手に持っているその参考書、本当にいま必要ですか?
さてさて、「効率的な勉強法」の話に戻りましょう。
僕の考える効率的な勉強法はこうです。
基礎基本の理解を徹底し、十分な量と難易度の演習を積みつつ、難しい問題ばかりでなく定期的に基礎基本に立ち返って学習すること。
なんだ当たり前のことじゃないか、と思われたでしょう。
そうです。
学問に王道なし。
偏差値30の子が1か月や2か月で偏差値70を超えるような魔法の杖はないんです。
難関校に合格するために必要な勉強量はどうやったって変わらなくて、それを3年間コツコツと積み立ていくか、部活が終わって夏休みから猛烈に積み上げるか、入試直前に必死に積んでいくかの違いでしかありません。
「効率」を重視することが良いことであることは否定しませんが、それは泥臭い地道な努力を避けるのではなく、むしろそれこそが最も効率的なのだと確認する作業に等しい。
ただ知れば知るほど、その「効率的な勉強」をしっかり実践する大変さも見えてきます。
そんな時はうまく環境を利用しましょう。そのための塾なんですから。
金沢校 山本